
特定健診・特定保健指導とは
特定健診・特定保健指導とは、生活習慣病に焦点をあてた健康診査および生活改善指導です。
日本人の死因の約5割は、がんや心臓病、脳卒中などの生活習慣病であり、生活習慣病の予防と早期発見・治療には、特定健診の受診や特定保健指導の利用が重要です。
この記事では、特定健診・特定保健指導の重要性と、支援の詳しい内容や流れを紹介します。
■関連ページ
→特定保健指導(重症化予防)|シミックヘルスケア・インスティテュート(CHI)
目次[非表示]
- 1.生活習慣病・メタボリックシンドローム
- 1.1.生活習慣病とは
- 1.2.メタボリックシンドローム(メタボ)とは
- 1.3.メタボリックシンドロームの診断基準
- 2.特定健診・特定保健指導
- 2.1.特定健診・特定保健指導とは
- 2.2.対象となる人
- 2.3.検査項目
- 2.4.特定健診を受けた後の流れ
- 3.健診で生活習慣病のリスクが高いと判定されたら
- 4.特定健診・特定保健指導の対象となる方は、必ず受けましょう
- 5.健康保険組合の方へ
生活習慣病・メタボリックシンドローム
生活習慣病とは、がんや心疾患、脳血管疾患など、食事や運動習慣、喫煙や飲酒などの生活習慣が、その発症や進行に関与する疾患です。
またメタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積と高血圧・高血糖、脂質代謝異常の組み合わせにより、生活習慣病を引き起こす段階にあることを指します。
生活習慣病とは
「生活習慣病」とは、1996年頃から使われるようになった言葉で、以前は「成人病」と呼ばれた、がんや脳卒中、心臓病を生活習慣の観点から再定義された用語として位置づけられています。
「生活習慣病」とは、がん(悪性新生物)や心疾患(狭心症・心筋梗塞など心臓病)、脳血管疾患(脳梗塞・くも膜下出血など)の病気が含まれ、その発症や進行に食事や運動習慣、喫煙や飲酒などの生活習慣が関与する疾患を指します。
「生活習慣病」の範囲や定義は明確に定められていませんが、健康増進法では、「がん及び循環器病」とされ、世界保健機関(WHO)ではNCDs(Noncommunicable diseases、非感染性疾患)という用語を用いており、心臓病、脳卒中、がん、糖尿病のほか、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性肺疾患を含んでいます。
■参考:健康増進法|厚生労働省
(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78aa3837&dataType=0&pageNo=1 )
メタボリックシンドローム(メタボ)とは
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積と高血圧・高血糖、脂質代謝異常の組み合わせにより、先に挙げた、生活習慣病を引き起こす段階にあることを指します。
お腹周りの脂肪がついているだけでは、本来メタボリックシンドロームとは呼べません。
この内臓脂肪の蓄積に加えて、動脈硬化のリスクのある高血圧や高血糖、脂質代謝異常のうち、2つ以上が基準値から外れている状態をいいます。
※「メタボリックシンドロームの診断基準」と「特定保健指導の判定基準」は異なります。
メタボリックシンドロームの診断基準
腹囲が、男性85cm・女性90cm以上で、かつ、血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、「メタボリックシンドローム」と診断されます。
日本では、2005年に日本内科学会などの8つの医学系の学会が合同してメタボリックシンドロームの診断基準を策定しました。
メタボリックシンドロームの予備群の基準は、内臓脂肪の蓄積と、血圧・血糖・脂質の3つのうち1つでも当てはまることです。
■政府広報オンライン「生活習慣病とは?予防と早期発見のために定期的な受診を! 」(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201402/1.html )をもとに加工
特定健診・特定保健指導
「特定健診・特定保健指導」は、先述したメタボリックシンドロームに焦点を当てた「特定健診」で、生活習慣病のリスクを早期に発見するもので、運動習慣や食生活、喫煙といった自身の生活習慣を見直す「特定保健指導」は、生活習慣病の予防・改善につながります。
特定健診・特定保健指導とは
「特定健診」の正式名称は「特定健康診査」であり、健康保険法の改正により、2008年4月から40~74歳の方を対象に導入された健康診断で、「メタボ健診」と呼ばれることもあるように、メタボリックシンドロームに着目し、生活習慣病の予防を目的として実施されています。
病気の早期発見や治療を目的とした一般健診とは、検査項目も異なります。
特定保健指導とは、「特定健診」を行った結果、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が期待される方に対して行われる指導であり、生活習慣を見直すため、専門スタッフ(保健師、管理栄養士など)がサポートを行います。
生活習慣を振り返った受診者の方が、自らの生活での行動を変えていく手助けとなります。
対象となる人
40歳以上75歳未満の医療保険加入者が対象で、一般健診の項目に、特定健康診査も含まれています。
それ以外の方は、別途加入している医療保険から届いた受診券や受診案内に記載された、指定場所での受診が必要です。
検査項目
以下の項目について検査が実施されます。
基本的な健診の項目 |
質問票(服薬歴、喫煙歴等) |
詳細な健診の項目 |
心電図検査 |
特定健診を受けた後の流れ
受診して約1~2か月後、医療機関から健診結果およびそれを踏まえた生活習慣の改善に関する情報が届きます。
そこで、生活習慣病のリスクが高いと判定された場合 (※)、加入する医療保険から特定保健指導の実施に関する案内も送付されます。
※「メタボリックシンドロームの診断基準」と「特定保健指導の判定基準」は異なります。
健診で生活習慣病のリスクが高いと判定されたら
生活習慣病のリスクが高いと判定された場合でも、普段の生活習慣を改善することで、生活習慣病の予防や健康状態の改善ができる可能性があります。
そこで、特定健康診査の結果を踏まえて、生活習慣病の発症リスクが高い方に対し、生活習慣を見直す特定保健指導が行われます。この指導は、医師や保健師、管理栄養士などによって行われ、対象者一人ひとりに合わせたアドバイスがなされます。
支援の種類
対象となった方全員に対し、健診結果に基づいた情報提供が行われます。メタボリックシンドロームを防ぎ、健康維持・増進のための生活習慣について、正しく理解することが目的です。
また特定保健指導は、発症リスクに応じて2つのタイプ「動機付け支援」と「積極的支援」に分けられ、メタボリックシンドロームのリスクが高い人には「積極的支援」、その予備群には「動機付け支援」が行われます。
追加リスク
収縮期血圧が130mmHg以上、または拡張期血圧が85mmHg以上である
空腹時中性脂肪150mg/dl以上(やむを得ない場合は随時中性脂肪175mg/dl以上)、またはHDLコレステロール40mg未満である
空腹時血糖が100mg/dl以上、またはHbA1c(NGSP値)が5.6%以上である
- たばこを習慣的に吸っている
※4は、1~3までのリスクが1つ以上ある場合にのみカウントする
■厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット[情報提供]
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-04-002.html )をもとに加工
積極的支援とは
積極的支援とは、「動機付け支援」に加えて、定期的・継続的な支援を行うことにより、生活習慣改善のための行動目標の達成に向けて実際に取り組みながら、生活習慣を継続できることを目指した支援です。
なぜそのような状態になったのか、食事や運動の状況を把握し、生活習慣との関係を理解してもらいながら、医師や保健師、管理栄養士などと計画を立て、3か月にわたる指導・支援を実施。自身で生活習慣を改善できるようサポートが行われます。
動機付け支援とは
動機付け支援とは、対象者が自身の健康状態を把握し、生活習慣を振り返り、生活習慣を改善していくための行動目標の設定・実践・継続を目指した支援です。
自身の健康状態や生活習慣をよく理解し、生活改善を行う動機付け指導が原則1回行われます。
なお65歳以上の方は、QOL低下の予防に配慮した生活習慣の改善が重要と考えられ、動機付け支援が行われます。
特定保健指導の流れ
「積極的支援」と「動機付け支援」の支援の流れは以下の通りです。
■政府広報オンライン「生活習慣病とは?予防と早期発見のために定期的な受診を! 」(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201402/1.html )をもとに加工
特定健診・特定保健指導の対象となる方は、必ず受けましょう
初期の生活習慣病は特に自覚症状がないことが多いため、知らないうちに病気が進行してしまう危険性があります。そのため、年に1回健診を受け、自分自身の健康状態を常に正しく把握することが、生活習慣病の早期の発見・治療に重要です。
対象となる方は、特定健診を受け、健診結果をきちんと確認し、健康増進に努めましょう。
もし、特定保健指導の対象になった場合は、自分自身の生活習慣を見直す“きっかけ”になると受け止め、ぜひそれを役立てるようにしましょう。
健康保険組合の方へ
シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社(CHI)の特定保健指導では、生活習慣の改善が必要と判断された方へ、管理栄養士や保健師を中心に保健指導を行うサービスを行っています。
各種ツールを活用し、対象者へ寄り添いながら、保健指導の実施・継続率を高め、対象者のQOL改善をサポートします。
ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
■関連ページ
→特定保健指導(重症化予防)|シミックヘルスケア・インスティテュート(CHI)
このページは、以下をもとにシミックヘルスケア・インスティテュート株式会社が作成しました。
■「生活習慣病とは? 」(厚生労働省)
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-001.html)
■「メタボリックシンドローム(メタボ)とは? 」(厚生労働省)
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-001.html)
■「メタボリックシンドロームの診断基準 」(厚生労働省)
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-003.html)
■「特定保健指導の実際 」(厚生労働省)
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-04-002.html)