盲導犬などの優良補助犬の人工授精に興味を持ち、研究室のある、地元から離れた大学に進学しました。顕微鏡を覗く日々を送りながら将来の職業を模索していた頃、大学で開催された会社説明会に参加し、CRCという職業を知りました。当時は新型コロナウイルス感染症が流行り始めた頃でもあり、感染症に対する新薬はいつ出るのか、どのような流れで新しい薬はできるのか、新薬開発への興味もありました。面接もリモート開催、説明会も中止になるなか、対面での開催は貴重なものであり、厳重な予防対策が施された説明会で、初めて世の中で働く社会人の声を生で聞くことできました。
他に新薬開発に関連する職業として、臨床開発モニター(CRA)や医薬情報担当者(MR)の紹介もありましたが、一番興味を持ったのは CHI で働く先輩から説明のあった CRCでした。それは、患者さんの近くで治験薬を使った感想や状況を聞くといった業務が、私には合っているのではないかと思ったからなのですが、実際CRCとして働く今、「症状が良くなったよ」という患者さんの言葉は何ものにも代えがたい喜びです。患者さんのなかには、“都合の良いアルバイト“といったイメージを持つ方もたまにいらっしゃいますが、しっかり説明することで理解いただき、最後の来院でお礼を言われたり、「また参加したい」と言われたりすることもあります。患者さんとの対話が私たちの業務の神髄でもあり、患者さんに喜んでもらえることがCRCの醍醐味ではないかと思っています。卒業生の一人として、今は私が大学生にCRCの魅力を伝えています。