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開発業務受託機関(CRO)とは?
開発業務受託機関(CRO)は、Contract Research Organizationの略で、製薬企業などが医薬品や医療機器の開発を進める上で治験業務を受託・代行する企業を指します。
CROには、専門知識を持つ臨床開発モニター(CRA)が在籍しており、治験が適切に進行するのをサポートする役割があります。
この記事では、CROの業務内容などについて解説します。
■関連資料:治験における医療機関の支援なら
→治験・臨床研究支援(SMO)事業|シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社
目次[非表示]
- 1.開発業務受託機関(CRO)とは
- 2.CROの業務
- 2.1.モニタリング
- 2.2.データマネジメント(DM)
- 2.3.統計解析
- 3.製薬企業にとってのメリット
- 3.1.開発のスピードアップ
- 3.2.専門知識・ノウハウの共有
- 3.3.新しい手法の導入
- 4.まとめ
開発業務受託機関(CRO)とは
厚生労働省によると、CROは以下のように定義されています。
医薬品開発段階での臨床試験(治験)、医 薬品の市販後臨床試験などに関わる業務 の一部を代行、支援する企業。
→いわゆる医薬品開発業務の アウトソーシング企業
出典:厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/12/dl/s1215-7f2.pdf)
通常、新しい医薬品が承認され、販売できるようになるまでには、多大な時間と労力が必要です。CROは、製品開発のスピードアップや品質向上のために、製薬企業からの一部の業務を受託し、業務代行やサポートを行います。
CROには、臨床開発モニター(CRA)と呼ばれる専門スタッフが在籍しており、治験を実施するために必要な実施計画書(プロトコール)などの文書作成のサポートや、モニタリング業務などを行います。
CROの業務
CROの業務範囲は、それぞれのCROによって異なりますが、治験実施前の計画段階から、実施中のモニタリング業務、承認申請に関わるサポートや、市販後調査の支援まで、多岐にわたります。
主な業務内容としては、
- 試験計画の立案
- 治験実施医療機関の選定・調査
- 治験実施計画書(プロトコール作成)
- 症例報告書(CRF)作成
- 治験審査委員会(IRB)申請業務
- 契約手続き
- モニタリング業務
- 原資料の直接閲覧(SDV)
- 治験実施医療機関へのGCP監査
- データマネジメント(DM)
- 統計解析
- 総括報告書の作成
などが挙げられます。その他にも、CROのなかには、
- 非臨床試験の実施
- 医師や医療機関情報の提供
- モニター(CRA)の派遣
- 被検者募集(広告作成、コンタクトセンター業務など)
- 医療機関スタッフや治験コーディネーター(CRC)の教育・情報提供
- MRの業務委託や派遣
など、幅広く業務を展開しているCROもあります。
出典:厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/12/dl/s1215-7f2.pdf)
モニタリング
モニタリング業務は、GCP等の関連法規や治験実施計画書(プロトコール)に則って治験が実施されているか、実施医療機関を訪問するなどして確認し、治験データの質と信頼性を確保するための業務です。モニタリング業務を行うスタッフを、臨床開発モニター(CRA)と呼びます。
データマネジメント(DM)
データの入力、チェック、修正、管理を行います。CRAが、医療機関などから回収した症例報告書(CRF)のデータを、データベース化する業務です。入力ミスを減らすために、2人で同じ入力作業をするダブルエントリーなどの手法を用います。
統計解析
生物統計学の手法を用いて、治験の結果を解析し、治験薬の有効性及び安全性を、統計学的に検証する業務です。治験の解析計画の立案から統計解析の実施までを行うこともあり、GCPなどの関連法規に則った計画を立案します。統計解析では、プログラミングだけではなく、解析を行うための仕様書作成などの資料作成も必要です。
製薬企業にとってのメリット
治験を製薬企業が自社のみで行う場合、GCPなどの関連法規で定められた手順に則って、様々な書類作成や手続きなどの労力と時間がかかります。また、治験の準備、実施、終了後の各段階で、専門的な知識が必要です。
製薬企業がCROに業務を委託することで、以下のようなメリットがあります。
開発のスピードアップ
治験を行うためには、治験試験実施計画(プロトコール)の作成や、被験者募集、医師・医療機関スタッフとの調整など、多くの労力が必要です。CROは治験業務を専門的に行う企業のため、幅広い領域で、スムーズに治験を実施できる体制を構築しています。CROに業務を委託することで、治験のスピードアップが期待でき、1日でも早く新しい医薬品や医療機器を患者さんに届けることに繋がります。
専門知識・ノウハウの共有
CROは、治験業務に特化した企業のため、治験に関する専門的な知識を持っており、最新の法規制や、治験のトレンドなどの情報を把握しています。そのため製薬企業が自社で治験の専門家を確保したり、情報収集を行ったりするコストが削減できます。
新しい手法の導入
近年では、治験においても電磁化・ペーパレス化などが進められており、インターネットやICTを活用した新しい手法やシステムが多く利用されるようになりました。製薬企業だけで、新しいシステムの利用環境を整えるためには時間も手間もかかりますが、CROを活用することで、便利な手法をスムーズに取り入れることも可能です。
■参考資料:SMO事業での“Agatha for CHI” を活用した治験文書電磁化
まとめ
開発業務受託機関(CRO)は、Contract Research Organizationの略で、製薬企業などが医薬品や医療機器の開発を進める上で治験業務を受託・代行する企業を指します。
CROには、専門知識を持つ臨床開発モニター(CRA)などが在籍しており、治験が適切に進行するのを幅広くサポートする役割があります。
製薬企業などは、CROを活用することで、開発のスピードアップ、専門知識やノウハウの取得、新しい手法の導入など、さまざまなメリットがあります。
シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社(CHI) は、SMO(Site Management Organization:治験施設支援機関)として、全国4,000以上の医療機関と提携し、20年以上にわたり各医療機関を支援してまいりました。
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