治験に係る保険外併用療養費(その2)|GCPレター第21号
■この記事は、2016年4月28日に発行されたGCPレターを転記したものです。
■GCPレターとは:臨床試験全体の質の向上とGCPの啓発活動の一環として、当社提携医療機関向けのGCP関連などのレターを2021年3月まで発行いたしました。
■参考資料
→GCPレター第20号(2016年3月31日発行)治験に係る保険外併用療養費~その①~
■参考資料
→GCPレター第21号(2016年4月28日発行)治験に係る保険外併用療養費~その②~
この記事では、「治験に係る保険外併用療養費」について解説します。
今回は、治験依頼者から依頼された治験と、医療機器等の治験との違い及び次ページに医師主導治験との違いについて一覧表にしました。表から分かるように、医療機器等の治験では保険外併用療養費の支給対象となる期間や支給対象外の項目が医薬品治験と異なるため注意が必要です。また医師主導の医薬品治験では、保険外併用療養費の支給対象外の項目が異なっていることに加え、平成28年4月1日から「被験薬と同種同効の医薬品の投薬・注射の費用」が、保険外併用療養費の支給対象となりました。
再生医療等製品については、医療機器の治験とほぼ同様であるため纏めて記載しています。
■関連記事
→治験に係る保険外併用療養費(その1)|シミックヘルスケア・インスティテュート(CHI)
目次[非表示]
治験依頼者から依頼された治験と、医療機器等の治験との違い及び医師主導治験との違い
治験依頼者の依頼による治験
医薬品 |
医療機器 |
再生医療等製品 |
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治験期間 |
治験の対象となる患者ごとに当該治験を実施した期間(治験薬(前観察期のプラセボ等を含む)を投与した期間) |
手術若しくは処置又は歯冠修復及び欠損補綴の前後1週間※(2以上の手術若しくは処置又は歯冠修復及び欠損補綴が行われた場合は、最初の手術若しくは処置又は歯冠修復及び欠損補綴が行われた日から起算して8日目に当たる日から最後の手術若しくは処置又は歯冠修復及び欠損補綴が行われた日から起算して8日を経過する日までの間) |
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保険外併用療養費支給対象外の項目 |
検査及び画像診断に係る費用、予定される効能又は効果と同様の効能又は効果を有する医薬品に係る費用(治験依頼者負担) |
検査及び画像診断、診療報酬上評価されていない手術処置並びに歯冠修復又は欠損補綴並びに当該治験に係る機械器具等又は再生医療製品等(治験依頼者負担) |
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治験薬等の費用 |
治験依頼者負担 |
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消費税 |
治験依頼者が支払う料金は課税 |
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レセプト |
特記事項レコードに「11」(薬治) |
特記事項レコードに「12」(器治) |
特記事項レコードに「36」(加治) |
治験概要 |
治験依頼者の氏名及び連絡先 治験薬等の名称及び予定される効能効果 当該患者に対する治験実施期間(開始日及び終了日) 備考欄に「企業依頼」 |
治験依頼者の氏名及び連絡先 治験機械器具等又は治験加工細胞等の名称 当該患者に対する治験実施期間(開始日及び終了日)及び治験機械器具等又は治験加工細胞等を用いた手術又は処置が行われた日 備考欄に「企業依頼」 |
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地方厚生局長への報告 |
定例報告の時期に年間の治験の実施状況について報告します。医薬品、医療機器、再生医療等製品により使用する様式が異なります。 |
医師主導治験
医薬品 |
医療機器 |
再生医療等製品 |
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治験期間(保険外併用療養費支給対象となる期間) |
治験依頼者から依頼された治験と同じ |
定めなし
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保険外併用療養費支給対象外の項目 |
被験薬と同種同効の医薬品の投薬・注射(被験者から徴収することも可)(H28.4.1から支給対象です) |
診療報酬上評価されていない手術処置並びに歯冠修復又は欠損補綴並びに当該治験に係る機械器具等又は加工細胞等(被験者から徴収 |
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治験薬等の費用 |
被験者から徴収することも可 |
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消費税 |
非課税 |
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レセプト |
治験依頼者から依頼された治験と同じ |
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治験概要 |
治験責任医師の氏名及び連絡先 |
治験責任医師の氏名及び連絡先 |
|
地方厚生局長への報告 |
提出時期は治験依頼者から依頼された治験と同じですが、「治験依頼者名」欄には治験責任医師名を記載します。また |
運用上、配慮が必要なケース
生活保護受給者を治験の対象とする場合
生活保護受給者は生活保護法及び関連通知により保険外併用療養費の支給対象ではありません。
生活保護受給者を治験に組入れる場合、治験期間中は保険外併用療養費の支給対象外であること、負担軽減費が収入とみなされ生活保護受給額に影響が出る可能性があること、社会的な弱者と考えられるため不当な不利益を受けないよう配慮が求められること、などについて検討する必要があります。
当該患者の許可を得たうえで管轄の福祉事務所に診療費用及び負担軽減費について問い合わせ、その結果をもって治験依頼者と費用や組入れ時の留意点等について協議します。一方、治験審査委員会は生活保護受給者が治験に組入れられる場合には被験者が不当な不利益を受けないように、上記のような調整が行われることを確認する必要があります(被験者毎、治験毎の確認までは必要ありません)。
治験実施計画書で定められた入院
治験のために、本来必要のない入院をした場合、制度上は保険外併用療養費の支給対象ですが、被験者も入院費用の一部を負担しなければなりません。事前に医療機関、治験依頼者と協議し、被験者の負担が不当に増加しないように配慮が必要です。
シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社(CHI) は、SMO(Site Management Organization:治験施設支援機関)として、全国4,000以上の医療機関と提携し、20年以上にわたり各医療機関を支援してまいりました。
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■関連資料
→SSIカンパニー・SMO事業|シミックヘルスケア・インスティテュート(CHI)
■関連記事
→治験に係る保険外併用療養費 ~その1~|シミックヘルスケア・インスティテュート(CHI)